あなたは、福島潟の人魚伝説をご存知だろうか。

『海出人之図』と題する錦絵が現存する。その詞書によれば、越後国福島潟というところに夜な夜な「光物(ひかりもの)」が出現し、女性の声で人に呼びかけたため、当閏4月、武術にたけた浪人の柴田旦(しばた・あきら)というものが探索した。するとそれは海中に棲む「海出人(かいでにん)」(もしくは「うみでびと」だと名乗り出て、五年の豊作、のち悪い「風病(かぜ)」が流行し、世の中の人々は六分どおり死ぬと予言した。だが自分の絵姿を見れば、病を回避しうるとして、絵の写しを家に貼って朝夕眺めるようにと教示して消えた、という。

絵は女性の人魚似だが、下半身が魚でなく巻貝のようである。頭部のみ人型のいわゆる人面魚ではなく、胸あたりに人間の乳房が付いた姿で描かれている。あるいは巻貝のようなものに入っているとの解釈もされる。 

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